ギター上達コラム

            第69回  「残響」と「陰影

 

6月1日をもって、愛知県独自のコロナウイルス「緊急事態宣言」も解除された。しかし、目に見えない強敵との闘いであっただけに、宣言によって気のゆるみまでが解除されるというわけにいかないのが本音である。今しばらくは、「3密を避ける」「手洗いの励行」「マスクの着用」という新しい生活習慣の継続が必要ということだろう。

 

 さて、「上達コラム」である。現在、紙面によるコラムだけでなく実際の演奏も映像としてTwitterにupしているが、この挑戦は私自身の力量upにも大きく貢献している。勿論、「楽しむ心」があるからこそ継続できることではあるが、「タッチ」「音色の違い」「和音」「ビブラート」「ポジションの移動」等々、見て・聴いて分かるように演奏することを課しているだけに、「楽しむ心」だけでは意味づけや価値づけに繋がらないからである。自分が楽しむだけの挑戦と、挑戦することに何がしかの「お役立ち」を求める場合とでは真剣さは格段に違ってくるということだろう。

 

5月19日にupしたバッハの「アルマンデ」の演奏は、自分ではまだ発展途上曲と思うが「ギターテクニック講座No.1〜No.3」までのskillを 意識して弾いている。例えば、「ギターテクニック講座No.2  ♪音色に変化を♪」で観てみることにしよう。ここでは音色を楽しむための身に付けたいものを「バッハのメロディに乗せて」届けているが、演奏者として届けたい情報を下の3つの中に統括して書いている。

① クリア且つ柔らかい音 ②普通の音 ③クリア且つシャープな音

「アルマンデ」から、①〜③を具体的にはどのように組み取っていただけただろうか。

演奏は、演奏者の意識の中で働いているskillがばらばらに見えるので捉えにくいと思う。そこで、演奏者として是非とも掴んで欲しい情報を少し整理してみたいと思う。

 

★まず、①〜③までの音色の違いは、弦をはじく右手の位置によってかなり変わってくることは誰もが気づくことであろう。場所を変えるだけで音色の違いは出てくるからだ。

★次に、右手と左手の動きについて観てみよう。    

  右手:右手が左右に動いているか上下に動いているかで音色は微妙に変わる。映像では演奏者右手が見える部分の違いとして現れている。

    左手:観ていて指がバタバタしない運指を工夫したり、弦の押さえ方「ギターテクニック講座No.1 参照」に気を配り、素早く移動させるために左手の形を作りながら滑らせたり、ビブラートを効果的に使う部分に気を配ったりと、様々なことを一瞬一瞬意識に乗せながら演奏している。

 

    演奏者は、これらを意識すると同時に「残響」を聴くことがとても大事だ。「残響」を意識して聴くことで、演奏の奥行きや陰影が深くなるだけでなく、そのことが演奏を最後まで引っ張っていく大きなエネルギーになってくれるからである。だが、ギターという弦楽器の特性からいって、「残響」を聴くということは難しいことでもある。焦らず一歩一歩、「意識する」ところから始めるつもりで取り組んで欲しい。 

                             2020.06.01

                                                                           吉本光男