ギター上達コラム

  第15回 ギター上達」と「感性を磨く」の関係

 

「日本ユニバーサルギター協会」では、クラシックギターに関する内容とは少し違う視点で、年2回「感性を磨く会」を企画してきた。

毎回、今現在を生き生きと活躍しておられる方々にきていただき、その道での貴重な経験や体験を語ってもらい「生き方を学ぶ」会として今に至っている。

そもそも、「ギター上達」と「感性を磨く」とにどんな関連性があるのか。

「感性」とは磨けるものであるのか。疑問に思っておられる方も多いかと思う。

関連性でいうならば、様々な世界で活躍してみえる方々や団体から伝わってくる

”違う世界の煌めき” や ”貴重な最新情報・心の遣い方” 等々、ここで学ぶことが

「ギター上達」のための少し違う視点からの学びになっていると確信している。

 

 始まりは、私の弟子の方々や、率いるギター合奏団「アンダンティーノ」の団員が、技術だけでなく心も含めた「両輪」を磨くための場として企画した。

第1回は、金沢大学名誉教授の樋渡保秋先生による「1/fゆらぎを理解して演奏に活かそう」というテーマの講話で、かなり勉強会の色合いが強かったように思う。しかし、回を重ねるごとに会のテーマが広がっていき、「心を楽しませる

詩人の話」「生き生きと生きる人生の秘訣」「命を支える食に関する専門家の話」等々、まさに、月に1回の合奏練習に合わせて、「心」を磨く「感性を磨く会」が開催されることとなり、両輪を磨く学びの場が提供できるようになってきたことを嬉しく思う。

 

 それでは、「磨く」という点ではどうなのだろうか。目には見えないが、

「感性」とは、「はっとした気づき」「話を聴く中でふと湧き上がる素直な思い」に、しっかりと向き合うことで磨かれていくと聞いたことがある。

感性は磨けるのである。会場での気づきを、会の最後で行う「交流の場」で伝え

合い聞きあうことで、自分の生き方と向き合う。このことこそが「感性を磨く」会の主たる目標であると考えている。会の最後にお互いの気づきを交流し合うことで少しづつでも、生きて働く私たちの「感性」がより豊かに磨かれていくことを期待している。

 

 さて、この「感性を磨く会」も今回の「フラメンコの世界」で10回目となる。ギターに限らず「技術の向上」は「聴く力」や「心の向上」と深くかかわっていることが分かった。つまり、その人が持つ心の働きとしての「人間力の向上」なしに「技術の向上」は期待できないし、その道を究めることはできないということだ。その意味で、本協会が主催する「感性を磨く会」の持つ意義は小さくないと思っている。各界で活躍中の方の熱い生き方を間近に見聞し、大いなる気づきを頂きながら交流する。本協会会員さんの方々だけでなく、多方面からの参加者を迎えて行っているのも、来ていただく「講師の方との交流の場」がより豊かなものとなり、実り多い会になることを願ってのことである。

 

 これまで会場に足を運んでいただいた沢山の人たちの熱意に支えられ、「感性を磨く会」は来年で6年目を迎える。皆さまの忌憚のないご希望・ご意見が新設した「JUGAの窓」に届いていることに力を得てこれからも「日本ユニバーサルギター協会」の精神を大切にし、「ギター上達」と「感性を磨く」両輪の関係で継続させながら、新たな気持ちで取り組んでいきたい。

                                    2015.12.01

                                                                                     吉本光男