ギター上達コラム

       第48回   踏み出す「勇気」

 

 

一歩を踏み出す。口で言うのは簡単だが、現実には難しいことである。9月16日(土)、「ローザ薔薇館」で行われる『情熱のフラメンコ』に向けての練習が山場を迎えている。ギターといっても、クラッシックギターとフラメンコギターの立ち位置は「似て非なるもの」、全く違う世界を創り出す。特に、踊り子が入ってステップを踏み始めるとリズムの違いだけでなく異質な音が入り混じる感じで、初めは頭も指もやたら混乱したものだ。いつもと違う脳を使っている感じはワクワク感たっぷりで、時間が経つのを忘れてしまう。

 

フラメンコギターへの興味は尽きないが、新しい分野で一つの「コンサート」を創りあげるとなると話は別で、かなり「勇気」がいることだ。これまで会員の皆さんに「挑戦する」ことの大切さを熱く語ってきた者として、踏み出す「勇気」から逃げるわけにはいかない。足を地につけ、腰を据えて取り組むことにした。長きにわたって慣れ親しんできたクラッシックギターをしばし脇に置き、フラメンコギターに馴染む時間をきっちり確保しつつ真摯に向き合ってきた。

 

小牧市で行う月1回の合同練習はもとより本気、7月からは踊り子にも参加してもらい臨場感を出しながら練習を重ねてきた。練習をしていく中で、ギター2台と踊り子の息が次第に合ってくる。メロディーと伴奏と踊りがぴったり合った時の爽快感は、言葉で伝えるのが難しい位だ。最近は、フラメンコのリズムが体に馴染んできたのか安定して“らしく”なってきた。当日を楽しみにあと半月、練習まっしぐらである。

 

この挑戦は、私にとって難しい挑戦ではあるが技術的にも精神的にも多くの学びを得ることができている。挫けそうになる気持ちを引き立ててくれたものは、いつも「一歩一歩の継続」であり、「尽きることのないギター愛」であった。今回チケットを買い、会場まで足を運んでくれる人たちのおよそ半数が今までとは違う顔ぶれだと報告を受けている。新しいファン層の広がりは、「日本ユニバーサルギター協会」に新しい風穴を開けてくれるだろう。そして、そこから飛び込んでくる沢山の光の環は、必ずや当協会の新たな力となっていくことだろう。素直に嬉しいと思う。

                       2018.09.01

                        吉本光男