協会便り    2016年8月号

      あなたの中の「準備する力」

 

   第2回 JUGA「アマチュアギターコンクール」の開催が決まった。

出場を申し込んでいる人は、それなりに出場のための準備が進んでいることだろう。「10分間の勝負」の世界に挑むために、これまでに準備してきたことを実現させる場が確定したことを嬉しく思う。

 

 他の楽器と同じように、ギターもまた、練習を1日休むと技術は3日間後退する。挑むために大事なのは、倦まず弛まずあきらめず、目標に向かって「準備する力」であろう。最も、言葉の後ろに「力」のつくものにはいろいろある。この頃気になる「野菜の力」、男性は苦手と言われる「聴く力」、他にも「判断力」「忍耐力」握力」「跳力」

「背筋力」、最近は「鈍感力」とか「老人力」というのまである。

「握力」「跳力」「背筋力」のように数値で表すことができるものもあれば、見える形では表わせないものもある。

プロセスの根っこともいえる「準備する力」は後者である。見ることが出来ないばかりでなく数値化することもできない。

 

 今回は、目には見えないが「上達」のためには欠かせない「準備する力」について考えてみたい。「準備する力」といわれるように「力」である限りにおいて、磨いて高めることができる範疇にある。では、「準備する力」を磨くためには、日常の練習の中で具体的にどう動けばいいのだろう。「夢に日付をつける」という言葉がある。夢も漫然と語るだけより、日付を明記した方が断然実現する確率は高くなる。同じように演奏技術の上達のためには、「楽譜に日付けをつける」を実行するとよい。1日に進めたいフレーズを決め、楽譜に書き込んでしまうのだ。そして決めたところまでは必ず暗譜する。

1週間進めると、最初の1日分のフレーズは、7回以上は連続で集中して暗譜することになる。1曲を仕上げるのにかかる期間は人によって違うだろうが、楽譜に日付をつけて進んでいくプロセスが ”成果としての花” を咲かせ実を結ぶのは、期日までにどれだけ根気よく「準備する力」の根っこを育てたか如何による。

 

 さて、JUGA「アマチュアギターコンクール」の本番まで3か月を切る。一歩一歩、こつこつと「準備する力」を磨いていって欲しい。

「力」をつけるには、持続する「忍耐力」もまた必要不可欠なのだ。

9月には第5回「ティータイム・ギターコンサート」も控えている。

出場を決めた人ももちろん決めていない人も、日々の練習に日付をつけ、自分の「準備する力」をたくましく育てて欲しい。

ある日突然、新たな境地が開いたことを実感する日必ず来るはずだ。

例えば、速いスケールがなかなかうまくいかなかった人が、突然、押さえるべき弦の位置が光って見えるようになる。続けることで見えないは

ずの「力」が見えてくるようになるのだ。大事なことは、あなたの中に確かに存在する「準備する力」を意識して日々の練習に向き合うことである。

                            2016.08.01

                                                                           吉本光男